出雲大社で授かる神聖な砂、そのご利益を自宅でもいただきたいと考える方は多いでしょう。特にマンションにお住まいの場合、出雲大社の砂の正しい使い方や清めの場所について悩むかもしれません。この記事では、出雲大社でいただいた砂の使い方に焦点を当て、参拝の正しい手順や作法、御砂の交換や持ち帰りの方法から、マンションの玄関など具体的な使い方、お守りとしての活用法まで、知っておくべきマナーを解説します。このまとめ記事で、出雲大社の砂に関する疑問を解消しましょう。
この記事でわかること
- 出雲大社の砂(御砂)の神聖な意味とご利益
- 稲佐の浜から素鵞社での砂の正しい交換手順
- マンション特有の砂の使い方と具体的な置き場所
- 砂の保管方法や古い砂の処分に関するマナー
出雲大社の砂の使い方についてマンションでのご利益と基本

- 出雲大社の砂とは?そのご利益
- 稲佐の浜での砂の持ち帰り方法
- 砂の交換手順と参拝の作法
- 素鵞社での正しい交換マナー
出雲大社の砂とは?そのご利益
出雲大社でいただける「御砂(おすな)」は、一般的に「清めの砂」とも呼ばれ、非常に神聖なものとされています。この御砂は、出雲大社の御本殿後方、八雲山の裾に鎮座する素鵞社(そがのやしろ)でいただくことができます。
素鵞社は、出雲大神(大国主大神)の親神様であり、ヤマタノオロチ退治で知られる素戔嗚尊(スサノオノミコト)をお祀りする神社です。そのため、この御砂には素戔嗚尊の強力な御神威が宿ると信じられています。
古くから、この御砂には「厄除け」「土地の祓い」「魔除け」の力があると伝えられてきました。また、家内安全や五穀豊穣といった、私たちの生活を守り豊かにする御神徳をもたらすとも言われています。
この御砂は、単に素鵞社からいただくだけでなく、出雲大社の西方にある「稲佐の浜」の砂と交換することで、さらに強い神聖な力を授かると考えられています。
稲佐の浜での砂の持ち帰り方法
前述の通り、素鵞社で御砂をいただくためには、まず「稲佐の浜」で砂を採取する必要があります。稲佐の浜は、出雲大社から西へ約800メートルから1キロメートル(徒歩約15分)ほど離れた場所にある海岸です。
浜に到着したら、まず浜辺に鎮座する「弁天島(豊玉毘古命)」に参拝し、これから砂をいただくことのご挨拶をします。
参拝後、浜辺の砂を少量採取します。このとき、砂を入れるための清潔なビニール袋や小さな容器、ペットボトルなどを持参すると便利です。スコップがあると採取しやすいですが、手でいただいても問題ありません。大切なのは、神聖な砂をいただくという感謝の気持ちです。
砂を採取した後は、掘った穴をそのままにせず、表面を平らに整えるのがマナーとされています。採取する時間帯としては、比較的参拝者が少なく、浜辺が清浄な朝の干潮時がおすすめされています。
砂の交換手順と参拝の作法
御砂をいただくためには、決められた手順と作法を守ることが求められます。この手順の核心は、稲佐の浜の砂を準備し、出雲大社での正式な参拝を経て、素鵞社で交換することにあります。
出雲大社の公式サイトによれば、御砂をいただくにはまず出雲大社での正式な参拝が必須です。(出典:出雲大社公式サイト よくある質問)素鵞社は御本殿の裏手にあるため、先に御本殿へお参りするのが順序となります。
出雲大社の正式な参拝順路
- まず、勢溜(せいだまり)の鳥居から境内に入ります。
- 参道を進み、祓社(はらえのやしろ)で心身の穢れを清めます。
- 祓橋(はらえのはし)を渡り、手水舎(てみずや)で手と口を清めます。
- 拝殿に進み、神様にご挨拶をします。
- 拝殿の後方にある八足門(やつあしもん)から、御本殿に向かって参拝します。
- その後、十九社(じゅうくしゃ)などを経て、御本殿の裏にある素鵞社へ向かいます。
出雲大社での参拝作法は「二礼四拍手一礼」が正式な作法です。拝殿、八足門前、そして素鵞社でも、この作法で丁寧にお参りしてください。
素鵞社での正しい交換マナー
稲佐の浜で砂を採取し、出雲大社の正式な参拝を終えたら、いよいよ素鵞社へ向かいます。素鵞社は御本殿の真裏、八雲山を背にして鎮座しています。
素鵞社の社殿の軒下(縁の下)には、砂が入った木箱が2つ設置されています。ここで、稲佐の浜から持参した砂と、素鵞社の御砂を交換します。
御砂の交換手順
- まず、素鵞社に「二礼四拍手一礼」で参拝します。
- 軒下の木箱を確認します。多くの場合、砂が「濡れている方の木箱」と「乾いている方の木箱」に分かれています。
- 稲佐の浜で採取してきた砂を、「濡れている方の木箱」に全て納めます。
- 次に、「乾いた砂が入っている木箱」から、清められた御砂をいただきます。
ここで守るべき大切なマナーがあります。それは、「持参した砂よりも少ない量をいただく」ことです。欲張らず、感謝の気持ちを込めて必要な分だけをいただきましょう。
御砂をいただいたら、持参した袋や容器に丁寧に入れます。最後に、御砂を分けていただいた感謝を込めて、再度、素鵞社に参拝(一礼または二礼四拍手一礼)してお礼を伝えます。
なお、素鵞社の参拝時間は、出雲大社の開門時間に準じますが、概ね6:00から16:30頃までとされています。
出雲大社の砂の使い方|マンションでの正しい場所

- マンションでの清め方法・玄関の使い方
- 部屋の四隅への置き場所と方法
- お守りとしての砂の活用法
- 砂の保管方法と湿気対策
- 古い砂の処分と返納マナー
- よくあるQ&Aを解説
- 出雲大社の砂の使い方|マンション総まとめ
マンションでの清め方法・玄関の使い方
マンションやアパートなどの集合住宅では、一軒家のように土地や敷地の四隅に砂を撒くことが難しいです。そのため、マンションにおける御砂の使い方は、室内に「置く」ことが基本となります。
最も一般的な使い方の場所は「玄関」です。玄関は、家の中に良い気も悪い気も入ってくる入口とされています。
玄関での具体的な使い方
玄関に御砂を置くことで、外からの邪気を祓い、家全体を清める「結界」のような役割が期待できます。
- 置き場所:
- 玄関の四隅(たたき)に、小皿や小瓶、または和紙袋などに入れた砂を置きます。
- 下駄箱や靴箱の中、またはその上の隅に目立たないように配置するのも良い方法です。
- 玄関マットの裏に、平たくした砂の小袋を忍ばせる方法もあります。
- 撒き方(室内):
- もし室内に向かって撒く場合は、入口で「左・右・左」と三回に分けて少量撒き、「祓へ給ひ 清め給へ(はらいたまえ きよめたまえ)」と唱える方法が紹介されています。ただし、撒いた砂は後で掃除し、近くの土に戻す必要があります。
マンションでは共用部(廊下やベランダの外側など)に砂を撒くことはマナー違反となりますので、必ず専有部分である室内で使用してください。
部屋の四隅への置き場所と方法
玄関だけでなく、居住スペースである各部屋を清めるためにも御砂は活用できます。マンションの場合、土地の四隅の代わりに「部屋の四隅」に置くことで、その空間全体を浄化し、守る効果が期待されます。
- 置き場所:
- リビング、寝室、子供部屋など、清めたい部屋の東西南北にあたる四隅に配置します。
- 床に直接置くことに抵抗がある場合は、棚の上や本棚の隅、机の引き出しの中など、目立たず清潔に保てる場所を選びます。
- 容器の選び方:
- 砂が散らからないよう、フタ付きの小瓶(コルク栓付きなど)や、チャック付きの小さなビニール袋(ジップロックなど)が便利です。
- 通気性を考慮し、和紙袋に入れる方法もあります。
- 底の浅い小皿に乗せる場合は、埃が入らないよう定期的に手入れをすると良いでしょう。
特に寝室の枕の下やベッドサイドに置くと、心が落ち着く効果を感じる方もいるようです。家族が集まるリビングに置けば、家内安全のご利益にもつながると考えられます。
お守りとしての砂の活用法
御砂は、特定の場所に置くだけでなく、「お守り」として持ち歩くこともできます。これは、日常的に素戔嗚尊のご加護をいただき、厄除けや魔除けとするための方法です。
小さな「お守り袋」を用意し、その中にいただいた御砂を少量入れます。このお守り袋をカバンの中に入れたり、仕事で使うデスクの引き出しに忍ばせたりすることで、日々の生活の中での清めと守護を願います。
お守り袋は、出雲大社の神門通りなどで購入することもできますし、ご自身で用意した清潔な小袋でも構いません。
また、車を運転する方は、車内のお守りとしてダッシュボードの中などに少量を置いておくことで、交通安全を祈願する方法としても用いられています。その際も、砂がこぼれないよう密閉できる容器に入れる配慮が必要です。
砂の保管方法と湿気対策
いただいた御砂は神聖なものですから、適切に保管することが大切です。使わずに保管しておく場合や、部屋に置く場合も、その環境には注意が必要です。
保管のポイント
- 場所: 高温多湿や直射日光が当たる場所は避けてください。神棚があればそのそばや、北側の棚、清潔な引き出しの中など、日陰の涼しい場所が最適です。
- 容器:長期保管する場合は、密閉性の高いガラス瓶などが適しています。ただし、湿気を防ぐ意味では、通気性の良い和紙袋や陶器の器もおすすめです。手軽なチャック付き袋でも問題ありません。
湿気対策
御砂が湿気を含むと、カビなどの原因になりかねません。
- もし湿気てしまった場合は、天気の良い日に日陰干しをして乾燥させます。
- 保管容器にシリカゲル(乾燥剤)を同封し、定期的に交換するのも効果的です。
- 容器の底にティッシュペーパーを1枚敷くだけでも、多少の湿度を吸収する助けになります。
また、出雲地方には、いただいた御砂をすぐに使わず、「1年間寝かせてから使う」という風習もあり、御砂の気を落ち着かせ、家の土地に馴染ませるための期間とされているようです。
古い砂の処分と返納マナー
御砂は神聖なものであるため、不要になった場合の処分方法にも配慮が求められます。
最も望ましい方法は、1年後などにお礼参りとして再び出雲大社を訪れ、古い御砂を稲佐の浜に還し、改めて新しい御砂をいただいてくることです。
しかし、遠方でそれが難しい場合も多いでしょう。その場合の処分方法としては、自然に還すことが基本です。
- 自宅での処分
- 自宅の庭や、お持ちであれば鉢植えの土など、清浄な土に還します。
- マンションなどで土がない場合は、近くの公園や神社の土(境内から外れた場所)に、感謝の気持ちを込めて撒きます。
- 白い紙や布に包んでから土に埋めるのも丁寧な方法です。
- 神社への返納
- 出雲大社には、古い御神札やお守りを納める「納め所」があります。御砂も同様に納めることが可能とされています。
- 近くの神社の「古札納所」に納める場合は、その神社の社務所に一度相談してみるのが良いでしょう。
いずれの場合も、ゴミとして捨てることは絶対に避け、いただいたご加護への感謝を忘れずに行うことが大切です。
よくあるQ&Aを解説
ここでは、出雲大社の御砂に関して、特によくある質問とその回答を解説します。
御砂の交換(参拝)が難しい場合の入手方法は?
何らかの事情で出雲大社(素鵞社)での参拝や稲佐の浜での砂の採取が難しい場合、出雲大社本殿の東側に位置する「北島国造館」で、「お清めの御砂」を授与所でお受けすることができます。こちらは初穂料500円でいただけます。(出典:御守・御朱印 | 出雲教 | 出雲大社 北島國造館)
御砂を撒くときの「作法」や「唱え言葉」は?
A2. 土地や部屋を清めるために砂を撒く際は、心を整えて行うことが望ましいです。
- 心構え:撒く前には手や口を清め、「今からお清めをします」と心で唱え、終わったら「ありがとうございました」と感謝を伝えます。
- 撒き方:敷地や部屋の中から外に向かって、「左・右・左」と三回に分けて撒きます。(出典:実践解説、お清めの砂(特に戸建て・アパート・マンションの場合)note)
- 唱え言葉:撒くときには「祓へ給ひ 清め給へ(はらいたまえ きよめたまえ)」と唱えると良いとされています。
一軒家の場合はどう使えば良いですか?
一軒家の場合は、マンションと異なり土地に直接撒くことができます。
- 基本:自宅の敷地の「四隅(東西南北)」に撒くか、埋めます。これが土地全体を清める結界となります。
- 順番:敷地の北東の角(鬼門)から右回り(時計回り)に四隅を清め、最後に敷地の中心を清めるのが良いとされます。(出典:出雲大社の御砂の使い方)
- その他:玄関前や庭、田畑(五穀豊穣)に撒くこともできます。コンクリートの上であっても撒いて問題ありませんが、土のある部分を優先するのが一般的です。
出雲大社の砂の使い方|マンション総まとめ
この記事で解説した、出雲大社の砂の使い方、特にマンションでの活用法に関する重要なポイントを以下にまとめます。
- 出雲大社の御砂は素鵞社でいただける神聖な砂
- ご利益は厄除け、魔除け、土地の浄化、家内安全など
- 御砂は稲佐の浜の砂と交換していただくのが正式な手順
- まず稲佐の浜で砂を採取し弁天島に参拝する
- 次に手水舎などで身を清め出雲大社本殿に正式参拝する
- 参拝作法は「二礼四拍手一礼」
- 素鵞社で持参した砂を濡れた箱に納める
- 乾いた箱から御砂をいただく
- いただく量は持参した砂より少なくするのがマナー
- マンションでは土地に撒けないため室内に「置く」のが基本
- 主な置き場所は玄関の四隅や下駄箱
- 各部屋の四隅に小瓶や小袋に入れて置くのも良い
- お守り袋に入れて持ち歩く活用法もある
- 保管は高温多湿や直射日光を避ける
- 古い砂は土に還すか出雲大社へ返納する
