「エイジズム」と聞くと、高齢者に対する差別を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか?
しかし、年齢に基づく偏見や差別は高齢者だけでなく、若者に対しても存在しています。
本記事では、若者に対するエイジズムの実態と、その解消方法について詳しく解説。
知らないうちに加害者または被害者になっていたという事態を避けるために、一緒にエイジズムについて考えてみましょう。

エイジズムとは?
エイジズムとは、年齢に基づく固定観念や偏見、差別をさす言葉です。
一般的には高齢者への差別として認識されがちですが、若者に対する偏見や差別もエイジズムに含まれます。
例えば、「最近の若い者は根性が足りない」「若い親に子どものしつけができるわけがない」といった発言は、若者に対するエイジズムの一例です。
若者に対するエイジズムの具体例
若者に対するエイジズムに多いのは、以下のような例です。
こうした年齢だけで判断する差別行為は、若者の自己評価や社会参加に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに細かく分類して例を見ていきましょう。
1. 職場での若者に対するエイジズム
職場では、若者が年齢を理由に軽視されることが多く、例えば「経験がないから意見しても意味がない」と決めつけられ、会議などで発言の機会が奪われます。また、「まだ若いから責任のある仕事は任せられない」と昇進や重要な業務から排除されることも。さらに、「若者は生活費が少ないから低賃金でも問題ない」と不当に安い給料で雇われるケースもあります。これらの偏見は、若者のモチベーションを低下させ、成長の機会を奪うでしょう。年齢ではなく能力や実績で評価される環境が求められます。
2. 社会における若者への偏見
社会では、若者に対して「最近の若者は努力しない」「すぐ辞める」など、根拠のない決めつけがされがちです。これは世代間の価値観の違いから生じますが、個々の若者の努力や考えを無視していると言えるでしょう。また、「若者はスマホばかり見ている」と批判されますが、実際には仕事や学習のためにスマホを活用している場合もあります。さらに、「若者は政治に関心がない」と言われがちですが、環境問題やジェンダー問題などに積極的に関与する若者も増えています。こうした偏見が若者の声を社会で反映させる妨げになっています。
3. 教育・家庭でのエイジズム
家庭や教育の場では、若者の意見が尊重されず、「大人の言うことを聞け」と一方的に押し付けられることがあります。また、「昔はこうだった」と、過去の価値観をそのまま適用しようとすることも多いです。しかし、時代は変化しており、昔のやり方が必ずしも正しいとは限りません。さらに、若者の趣味や流行に対して「くだらない」と批判的な態度を取る大人もいます。K-POPやアニメ、ゲームなどは、文化的に大きな影響を与えているにもかかわらず、単なる娯楽として軽視されることがあります。若者の意見や価値観を尊重することが重要でしょう。
4. メディアにおけるエイジズム
メディアでは「今どきの若者は〇〇」と一括りにされ、ネガティブなイメージを広められることがあります。SNSの普及により、若者が情報発信する機会は増えましたが、依然として伝統的なメディアによる影響は大きいと言えるでしょう。若者を一方的に批判するのではなく、その価値観やライフスタイルを理解し、公平に報道する姿勢が求められます。
エイジズムが若者に与える悪影響
若者に対するエイジズムは、以下のような影響を及ぼすことも。
それぞれ、具体的な内容は以下で解説します。
自己効力感の低下
周囲に貢献しようとしたり、実力を示そうとしたりした際、年齢を理由に能力を否定されると自信喪失につながります。
年齢は努力で変えようのないことなので、どうしようもない事柄を理由に自分を評価してもらえないと感じると、無力感を感じやすいです。
キャリアの停滞
年齢に基づく偏見から、若いという理由だけで昇進や重要なプロジェクトへの参加が制限されることがあります。
能力を示しても正当な評価をしてもらえなければ、やる気が低下してキャリアが停滞する原因にも繋がりやすいです。
社会的孤立
年齢を理由に町内会、職場、PTA、趣味サークルなどのコミュニティから排除されることで、孤立感を感じる若者も少なくありません。
こうした影響は、若者の精神的健康や将来の展望に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
若者に対するエイジズムを解消するための方法
エイジズムを解消するには、世代間の違いを理解し合うことが重要です。
ここでは、世代間の理解を深めるための取り組みとして有効な方法をいくつか紹介します。
世代間交流の促進
エイジズムの解消には、相互理解が不可欠です。
地域のイベントやボランティア活動を通じて、異なる世代が協力し合う場を設けることで、互いの価値観を理解し、年齢に基づく偏見を減らすことができます。
教育と啓発
学校や職場でエイジズムに関する教育を行うことも、年齢差別をなくすための一歩です。
特に、年齢への偏見は無意識のうちに刷り込まれていることも多く、やる側もやられる側もエイジズムの自覚がないケースもあります。
具体例を挙げながら、年齢への偏見や差別の問題を認識することが重要です。
ポリシーの見直し
年齢に関係なく能力や成果を評価する制度を導入し、年齢に基づく差別を排除することも大切です。
日本では年功序列の文化が根強く、特に伝統的な職場では若者の意見が軽視されやすい傾向があります。
若者へのエイジズムを解消するには「長くいる人=経験がある=正しい判断ができる」という固定観念をなくし、実力を重視する平等な社会を目指しましょう。
まとめ
エイジズムは高齢者だけでなく、若者にも影響を及ぼす深刻な問題です。
年齢に基づく偏見や差別を解消するためには、世代間の理解と協力が大切になります。
それぞれがエイジズムの存在を認識し、行動を起こすことで、年齢に関係なく誰もが尊重される社会を築いていくことが大切です。