電車や映画館・駐車場などで他がガラ空きなのになぜかわざわざ隣にくる「トナラー」。
今回はすぐ隣に座ってくるトナラーの心理や、やめない原因を探ってみたいと思います。

トナラーとは?
SNSなどで「トナラーって頭おかしいの??」「なんですぐ横に来るの?!」「トナラーってほんとうざい…」という声が上がってるのになぜか減らないトナラー。
「トナラー」とは、公共の場や人が集まる場所で、他人が座っているにもかかわらず、わざわざ隣に座る人を指す日本の俗語です。たとえば、広い電車の座席やカフェの席、映画館などで、十分な空きスペースがあるにもかかわらず、誰かのすぐ隣に座りに来る行動が典型的です。
この行為は、プライバシーやパーソナルスペースを侵害するものとして感じられるため、かなり不快に感じる人が多いようです。そのためきつい言葉にはなりますが、頭おかしいやうざいなどの評価をされてしまいます。
「トナラー」は、そのような距離感に鈍感な、または意識的に近づいてしまう人を軽い皮肉を込めて表現する言葉です。
トナラーって言葉はいつからある?
トナラーという言葉がネットに現れ始めたのは、2017年頃と言われています。
2020年にはさらにトナラーという言葉の出現頻度が増えており、その背景考察として「コロナ禍でパーソナルスペースが広がった」とする研究発表も行われました。
パーソナルスペースは他人に近づかれると不快に感じる自分専用の空間のことで、その広さには個人差があるものの、見知らぬ人に侵害されると「気持ち悪い」と感じるのは一般的な感覚と言えます。
【一般的なパーソナルスペースの範囲】
距離 | 関係性 |
---|---|
0~45cm(親密距離) | 家族・恋人レベル |
45~120cm(個人距離) | 友達・同僚レベル |
120~360cm(社会距離) | 上司・ビジネス関係 |
360cm以上(公的距離) | 演説・講義など |
他に空席がないなどの状況なら仕方ないですが、周りがガラガラなのに見知らぬ人が突然、恋人レベルや友達レベルの距離に入ってきたらびっくりしますし、不快感を感じる人は多いでしょう。
コロナ禍は密を避けることが重要視されていたため、全体的に「他人との距離感」がより意識されるようになったのかもしれません。
トナラーがうざいと感じるのは心が狭いから?
一部では、トナラーへの不快感を表す人に対して「他人が隣にきても全く不快じゃない」「過剰反応する人のほうがおかしいのでは」といった意見を述べる人もいます。
ですが、これは「自分が嫌じゃないなら相手も嫌じゃないはず」といった一方的な価値観を押し付ける行為のひとつです。
人にはそれぞれパーソナルスペースというものがあり、その広さは個人差があります。
誰かにとっては気にならない距離でも、別の人にとってはストレスになることは十分ありえることです。
こうした状況で 「なぜわざわざ隣に座るの?」 と思うのは、ごく自然な感情です。
特に、一般的に日本人はパーソナルスペースが広めだと言われており、だからこそ、わざわざ隣に座る行為に違和感を持つ人が多いのも納得できます。
もちろん、全く気にしない人もいるでしょうが、「自分が気にならないから他人もそうであるべき」と考えるのは 一方的な価値観の押し付けになってしまいます。
トナラーへの否定的な反応を示すのは「過剰反応だ」「心が狭い」と決めつけるのではなく、相手の感じ方に配慮することが大切です。
トナラーがトナラーをやめられない原因
トナラーが隣に座ることをやめられない原因には、いくつかの心理的・社会的な要因が絡み合っています。
まず、最も大きな理由の一つは無意識の行動です。多くのトナラーは、自分の行動が他人に不快感を与えていることに気づいていないことが多いです。
社会的な距離感やパーソナルスペースの認識が薄いため、他人との距離を保つべき場面でもそれに気づかず、隣に座ることが自然だと感じてしまいます。
彼らは自分がトナラーである認識がないので、トナラーをやめるやめないの意識にすら達していません。
万が一誰かにトナラーであることを指摘されたとしても、彼らが努力せずにトナラーをやめることができるかは難しい部分でしょう。まず、トナラーの行動はしばしば安心感や安定感を求める心理に起因し、安心感を求めて他人の隣に座ってしまいます。
また、社会的なつながりへの無意識の欲求もあり、群れで生活するという本能的な部分もあります。
これらは強く意識をしないと無意識に行ってしまう行動ですので、絶対にトナラーをやめなければならないという強い意志を持たない限り難しいでしょう。
更にトナラーである自覚を持つのが難しいのも一つの原因です。
トナラーは主に見ず知らずの相手に基本的にはその場限りで発生する行為です。初対面で注意することは非常にハードルが高く、面倒事に巻き込まれるよりは黙って現状を受け入れてしまう人が多いでしょう。そのため、トナラーはトナラーである自覚を持つことが非常に難しいです。
そうでなくともトナラーの中には己の利便性だけを求めて隣に座ってくる人もいます。そういう自己中心的な考え方の人間は特にトナラーをやめようとは思わないでしょう。
トナラーする9つの心理・言い分を解説
- 無意識の習慣
人によっては、無意識に他人の近くに座る習慣がついていることがあります。広い空間でも特定のパターンで座り、隣が空いているかどうかを意識しないこともあります。とくに飲食店や駐車場はいつもここに座っている・駐車しているという発想から混雑具合などを気にせず隣を利用してしまいます。 - 安心感を求める心理
誰かの近くにいることで、見知らぬ場所や状況での不安を和らげたいという心理が働くことがあります。特に一人でいるとき、他人の近くに座ることで安心感を得る人もいます。
そのため、初めて入ったお店や遠出のために初めて乗った電車の路線などで発生しやすい心理です。 - 社会的なつながりを無意識に求める
孤独感を避けたいという無意識の欲求から、他人の近くに座ることで心理的なつながりを感じたいということがあるかもしれません。 - 混雑を想定した行動
混雑する場所で発生しやすい心理です。電車の場合は混雑する時間帯や路線で、お店の場合は人気店やランチなどの特定の時間で、後から他の席も埋まるだろうと予測して最初から隣に座る人もいます。これにより、万が一混雑しても自分が移動しなくてもいいように考えている場合があります。 - 気づいていない
本人が周囲の席の空き状況に気づかず、単に最も近い席や一番座りやすそうな席を選んだというケースも考えられます。 - 固定の場所が決まっている
その人が普段からその店を利用している場合、固定の場所が決まっている可能性もあります。この場合、わざわざ隣に座ったというよりは「いつもの場所に座っただけ」と言えるでしょう。 - パーソナルスペースに無頓着
対人関係の距離感は、個人差が大きいです。そのためパーソナルスペースが極端に狭い人だと、隣に座る行為が不快感を与える可能性に気づかない可能性があります。また、真面目な人だと「順番に詰めて座らないと」というルールを守っただけというケースも多いです。 - 他人の気持ちに無頓着
相手の気持ちを察して共感する能力が低いと、他者の気持ちに無頓着になりやすいです。「自分は気にしないから相手も平気なはず」といったように、相手への思いやりが欠如しているのかもしれません。 - 犯罪やいたずらが目的
スリ、盗撮、痴漢などが目的でわざとターゲットの横に座る人もいます。特に、同じ人が何度も隣に座るのは、あからさまなストーカー行為です。
トナラーを「頭おかしい」「うざい」と感じる時
- 電車やバスで他の席が空いているのに隣に座ってくる場合
広々とした電車内で他にたくさん席が空いているのに、わざわざ隣に座られると不快に感じることがあります。
この状況では「わざと距離を詰められた」「なぜ他の空いている席に行かないのか?」という疑念が浮かび、相手が不自然に感じられます。 - カフェやレストランで一人で静かに過ごしている時
静かに読書をしたり、仕事をしている時に、他のテーブルがたくさん空いているにもかかわらず、隣の席にわざわざ座られると「邪魔された」と感じることが多いです。
特に、カフェなどでは一人の空間を大切にしている人が多いため、こうした状況は非常にストレスになります。 - 混雑していない公共施設やラウンジで
公園のベンチや空いている待合室、図書館などで、他に席があるのに隣に座ってくる人がいると、プライバシーや個人の空間が侵害されている感覚が強くなります。
特に、静かな場所では相手の存在がより強く感じられ、不安や警戒心が高まることがあります。 - 映画館や劇場で隣に座られる場合
映画館では、広い席が選べる場合が多いため、わざわざ隣に座られると「何でこの人、あえて隣に座るんだろう?」と不快に感じます。映画を楽しむ時間が、その近さによって気が散り、落ち着かなくなることもあります。 - 広い駐車場で
入り口や出口に近いわけでもないのに、ガラガラの中、何故か横に駐車してくる車。出るときにお互い面倒で不快でしかないとの声が。 - パチンコ店で
多いと評判のパチンコ店でのトナラー。
狙っていた台で空くのを待っているのかなと思いきや、自分が移動するとまた付いてきて隣に座ったなんてホラーみたいです。
女性はトナラーがうざいと感じやすい?
トナラーに対する意見を見ると、「嫌だ」「不快だ」と感覚的に捉える人がいる一方で、「ルール上問題ない」と考える人も多くいます。
特に、男性の多くはルールを基準に判断している傾向があるようです。
こうした意見は、「座ってはいけない」という明確なルールがないことを根拠にしています。
つまり、感覚や気持ちではなく、「ルール」を重視しているのです。
そのため、論点がかみ合わないことが多くなります。
感覚 vs. 理屈のすれ違い
一般的に、女性は感覚や気持ちを大切にし、男性は理屈で物事を考える傾向があると言われます。
理屈で感情を抑え込むことは可能ですが、それでは本音を言えなくなり、不満を抱え込むことにつながります。
この問題を考えるときは、以下のような日常生活での二択に当てはめて考えるとわかりやすいかもしれません。
では、この考えをトナラーの問題に当てはめてみましょう。
こう並べると、どちらが思いやりのある対応かが明確になりますね。
もちろん、過剰な反応をしてしまうのも問題です。
社会距離を適切に保ち、十分に配慮しているにもかかわらず、「トナラーだ、不快だ」と強く主張するのは行き過ぎかもしれません。
大切なのは、相手の感覚を尊重しつつ、お互いに適度な距離感を持って生活することではないでしょうか。
トナラーと遭遇した場合の対処法
横に座られた場合、我慢して最後まで隣に座っている必要はありません。移動が可能であれば、座られた瞬間にすぐに移動してしまいましょう。相手からすると「急に移動するなんて変な人」と思うかもしれませんが、トナラーも十分に変な行動です。嫌だと思うパーソナルスペースに入りこまれた場合は、自分を守るためにも移動するのが良いでしょう。
普通であればトナラーの人がさらに追いかけてくる事はありません。ですが、もし追いかけてくる場合は明確にあなたになにかしようと考えていますので、周りの人やお店の人に声をかけて一人にならないように注意してください。
駐車場でのトナラー行為に悩む人が急増中!原因と対策
駐車場でのトナラー行為に頭を悩ませる人も多いです。
広い駐車場なのに、なぜか隣にピタッと車を停められると、「なんでわざわざ?」と少しモヤっとしますよね。
ここでは、駐車場でのトナラー行為の原因や心理、避けるための対策を解説します。
なぜ駐車場でトナラーが発生するのか?
駐車場でのトナラー行為には、いくつかの理由が考えられます。
稀なケースではありますが、その人が日頃から駐車場を利用していて、いつも停める場所がたまたま隣だったということもあります。
いずれにせよ、広い駐車場なのに隣に停められると違和感を覚える人が多いようです。
駐車場のトナラー対策!どうすれば避けられる?
駐車場でトナラーされると、ドアの開閉がしにくい・傷をつけられそうで心配などの不安がありますよね。
他にも、ゆっくり車内でご飯を食べたかったのに、トナラーされた挙句、相手がずっと車内にいるから気まずくて落ち着かなかったという体験談も多いです。
駐車場でトナラーを避けるためには、次の方法を試してみてください。
両側に車がいる場所を選べば、自分視点でのトナラーは防げますが、両側の車の持ち主から不快感を示される可能性があります。
また、『少し斜めに駐車する』ことで隣に停めづらくするテクニックもありますが、これは他のドライバーの迷惑になる可能性があるため注意が必要です。
さいごに
無意識の行動や安心感を求める行動だとしても全くの他人、しかも異性や年齢が離れていると余計ストレスを感じますよね。
自分はその”無意識”でトナラーになって他の人を不快にしないように、周りをよく見て行動することを心がけたいものです。
トナラー以外にも人に嫌われる性格行動は色々あります。常に自分が人にどう思われるかを意識することが周りとの摩擦を減らしスムーズなコミュニケーションを生み出すでしょう。