世界的に男女平等が注目されている近年。
世界中でさまざまな取り組みが行われるなか「日本はジェンダーギャップ指数が先進国の中で最低レベル」と聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
本記事では、日本のジェンダーギャップ指数が低いと言われている原因や、具体的な課題について解説します。

ジェンダーギャップ指数とは
ジェンダーギャップ指数は、世界経済フォーラム(WEF)が各国の男女間の格差を測定するために毎年発表している指標です。
この指数は「経済」「政治」「教育」「健康」の4つの分野で構成され、各国の男女平等の度合いを数値化しています。
ジェンダーギャップ指数の更新は年1回で、6〜7月頃に最新のスコアやランキングが公開されることが一般的です。
日本のジェンダーギャップ指数の現状
2024年の報告によると、日本の総合スコアは146か国中118位と低迷しています。
特に「政治」と「経済」の分野でのスコアが低く、これが全体順位を押し下げる要因となっているのが現状です。
政治や経済の問題を解決していくことが、全体的なジェンダーギャップ指数を押し上げる鍵となるでしょう。
日本のランキング推移
日本のジェンダーギャップ指数の順位は長年低迷しており、2015年には101位、2020年には121位、2023年には125位と推移してきました。
2024年に118位へと若干改善したものの、依然として先進国の中では最低レベルにあります。
日本における具体的な問題点
日本におけるジェンダーギャップの問題点として、主に以下の内容が指摘されています。
政治分野での女性参画の遅れ
日本の政治分野における女性の参画は依然として低調です。
国会議員に占める女性の割合は2024年11月11日時点で約24.7%と、他国と比較しても低い水準にとどまっています。
この背景には、政治の場における女性候補者の少なさや、固定的な性別役割分担意識が根強く残っていることが挙げられます。
経済分野での雇用格差
経済分野でも男女間の格差が顕著です。
女性の管理職比率は約12.7%と低く、賃金面でも女性は男性の約75%の水準にとどまっています。
また、非正規雇用における女性の割合が高く、これが賃金格差の一因となっているとの指摘も多いです。
教育分野での進学率の差
教育分野では、初等教育から高等教育までの進学率において男女間の差異が見られます。
特に高等教育(大学・大学院)への進学率では、男性が女性を上回る傾向が強いです。
この差異は、社会的・文化的な要因や、家庭内での教育に対する意識の違いなどが影響していると考えられます。
女性特有の健康へのサポート
日本のジェンダーギャップ指数の「健康」分野のスコアは、他の分野に比べて高く、ほぼ男女平等が達成されていると評価されています。
これは、日本の医療制度の充実や、女性の平均寿命が長いことが要因です。
しかし、その一方で、出産に関するサポート体制の不足や、女性特有の健康問題(例:月経や更年期に関する医療サポート)が十分に整備されていないという指摘もあります。
ジェンダーギャップ指数は無意味?3つの問題点
一部では「ジェンダーギャップ指数には問題があり、無意味ではないか?」という意見もあります。
その主な理由として挙げられるのは、以下3つの要因です。
国や文化によって考え方などは異なるのが当たり前ですが、国際的な比較が難しくなるという側面から評価基準は一律になっています。
そのため、細かい背景や状況を考慮していないという点では確かに課題もありますが、ジェンダーギャップ指数が全く無意味であるとは言えません。
この指数は男女の平等の度合いを可視化し、政策決定の基準となる重要な指標の一つです。
また、世界の傾向を見ることで、どのような施策がジェンダー平等の推進に効果的かを分析することができます。
日本においても、指数を鵜呑みにするのではなく、データをもとに「どの分野でどのような課題があるのか?」を具体的に検討することが重要です。
日本のジェンダーギャップ解消に向けた取り組み
日本では、ジェンダーギャップ解消に向けて多くの取り組みを行っています。
政府の施策
日本政府は、2030年までに指導的地位に就く女性の割合を30%に引き上げる目標を掲げています。
この目標達成に向けて、女性の政治参画や管理職登用を促進するための政策が進められている途中です。
企業の取り組み
企業においても、ダイバーシティ推進や女性のキャリア支援が重要視されています。
ジェンダーギャップ解消に向けて、柔軟な働き方を推進する企業も増えているところです。
まとめ
日本のジェンダーギャップ指数は依然として低い水準にありますが、政府や企業、個人の取り組みによって改善の兆しも見られます。
男女平等の実現には、社会全体での意識改革と具体的な行動が重要です。
また、ジェンダーギャップ指数の数値だけにとらわれるのではなく、実際の社会状況を正しく分析し、多様な選択肢を持てる社会を構築していくことも大切にしましょう。