「結婚を望んでいるのに未婚のまま」──現代日本で増加しているといわれる「不本意未婚」の状況です。以前は「結婚しない自由」が尊重され、あえて独身を選ぶ人も多かったのですが、近年は結婚したくてもさまざまな理由で未婚のままの人々が増えているとされています。「しない」ではなく「できない」理由と背景には、一体何があるのでしょうか。ここでは、不本意未婚の割合や特徴、そしてその原因と社会背景について詳しく解説します。

不本意未婚とは何か?
不本意未婚とは「結婚したい意志があるにもかかわらず、何らかの理由で結婚に至っていない」状況を指します。「しない」という自発的な選択ではなく、経済的・心理的・社会的要因から「できない」状態です。これは、特に30代後半から40代以降の未婚者に多く見られる現象で、独身でいることを望んでいないにもかかわらず、結婚に至らないジレンマを抱えています。また、「20代が20代のうちに結婚できない」という若年層にも広がっている問題でもあります。
日本の不本意未婚の現状と割合
少子化や晩婚化が進む日本では、未婚率が上昇していますが、その中でも不本意未婚者の割合が増加していることが分かっています。ある調査によると、日本では30歳から50歳の男女で不本意未婚率が約25%とされています。特に男性は30%以上、女性は20%を超えるという結果もあり、増加傾向にあります。
このように、不本意未婚は一部の人だけの問題ではなく、広がりを見せている社会的な問題であるといえるでしょう。
不本意未婚の理由と原因
1.経済的な理由
不本意未婚の原因として最も多く挙げられるのが「経済的な理由」です。日本では、結婚や子育てには多額の費用がかかり、特に男性の場合は「収入が不安定である」ことが結婚の足かせになることが少なくありません。また、女性も働き続ける意向があるものの、収入が少ないため生活に自信が持てないという状況があります。
2.結婚相手の不足
晩婚化や少子化の影響もあり、結婚適齢期とされる世代での出会いが少なくなっています。また、近年の価値観の多様化により、結婚相手に求める条件が高くなり、そのために相手が見つからないと感じる人も増えています。さらに、社会的なプレッシャーが弱まり、結婚を急がなくなったことで、出会いの機会が少ないまま未婚で年齢を重ねていくケースが多いのです。
3.心理的な壁
離婚率の上昇などにより「結婚してもうまくいかないかもしれない」という心理的な不安がある人も多いです。また、自分に対する自己評価が低く、結婚に自信を持てないというケースもあります。こうした「心の壁」も、不本意未婚の原因として挙げられています。
4. 社会的な背景と環境
近年の働き方改革や育児支援の充実が進む一方、実際に仕事と家庭を両立させる環境は整っていない場合も多いです。そのため、特に女性が結婚や出産を選ぶことで仕事を諦めなければならない状況が続いており、結果的に結婚をためらう原因となっています。
不本意未婚の社会的影響
不本意未婚の増加は、少子化の加速、労働力の減少、社会保障の負担増など、さまざまな社会問題に直結しています。結婚し子供を育てることがしにくい社会環境では、未来への不安が強まると考えられます。今後、不本意未婚を減らすためには、結婚や子育てがしやすい環境づくりが求められています。
不本意未婚の解決に向けた取り組み
不本意未婚を減らすために、いくつかの施策や取り組みが考えられます。
経済的支援の強化
子育て支援金や住宅ローン減税など、家族形成を後押しする経済的な支援が求められています。また、独身者の生活費や税制の見直しも、結婚を促す要因になるかもしれません。
出会いの機会を増やす取り組み
自治体や企業による婚活イベントや、マッチングアプリの利用推進など、出会いの場を提供する活動も重要です。気軽に参加できる環境を整えることで、結婚への第一歩を踏み出しやすくすることが期待されています。
働き方改革のさらなる推進
男女ともに働きやすい環境を整えることも、不本意未婚を減らすためには不可欠です。特に育児休暇の取得推進や、育児と仕事の両立支援など、企業が積極的に対応していくことが重要です。
まとめ
不本意未婚は、個人の努力だけでは解決が難しい問題です。経済的な負担や社会的な環境、心理的な壁が複雑に絡み合い、結婚を望む人々にとって大きな障壁となっています。今後、少子化対策の一環として、不本意未婚の課題に対する理解を深め、誰もが結婚や家庭を望むならば選択できる社会づくりが求められています。不本意未婚の増加は、今後の日本社会にとっても重要な問題であり、さまざまな視点からの対応が期待されます。