男尊女卑や男女格差が議論になっている近年、じわじわと注目を浴びているのが地方女性の流出率問題。
もちろん地域差はあるものの、男性より女性の転出率が高く、そのうちの4割程度は二度と戻らないというデータは見過ごしてはいけない現実です。
地方出身または都心部から地方に嫁いだ女性のなかには「地方は生きづらい」と発言する人も多く、その内容が定期的に注目を集めています。
この記事では、地方女性が生きづらいと言われる理由と、去った人の本音について調査しました。
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地方女性は生きづらいと言われるのはなぜ?
「地方女性は生きづらい」と言われる理由は、時代の移り変わりに対応できていないことが主な原因となっています。
女性の社会進出に対する機会の少なさや、現代社会にそぐわない価値観の押し付けなどが女性に息苦しさを感じさせ、地方への流出を後押ししていると言えるでしょう。
働きがいのある仕事がない
地方では、女性がキャリアを追求できる職種やポジションが限られており、非正規雇用が多い傾向があります。
また、そもそも都会と比べて働ける場所が少ないというのも地方女性が地元を離れてしまう理由のひとつです。
男女格差が大きい
地方の女性は昇進の機会が少なく、賃金格差も存在します。
2021年に報告された男女共同参画局のデータによれば、男性の給与水準を100とすると女性の給与水準は75.2と大幅な格差があることが明らかになりました。
また、地域行事での役割分担において女性が裏方を担う場面が多いことや、家事や育児の負担が女性に偏りがちなのも要因のひとつです。
男尊女卑や固定観念の影響
地方は、都会に比べると「女性は家庭に入るべき」「結婚・出産が当たり前」といった価値観が根強く残っている傾向があります。
個人を尊重するという意識が強い現代において、個人の選択を制限しかねない固定観念の強さが女性流出を後押ししているのかもしれません。
地方で女性が減少して戻ってこない理由は?
都心部へ去った女性が地方に戻らない理由はさまざまですが、主な原因と考えられるのは以下4つです。
全体的に、生活の質を求めて都心部に留まる女性が多い印象です。
結婚・出産後のサポート不足
地方自治体では、産前・産後の支援事業や多胎妊産婦へのサポートが行われています。
ですが、一部の地域では支援が十分に行き届いておらず、育児中の女性が必要なサポートを受けられないケースがあります。
また、共働き世帯が増えた現代でさえ、地方は「育児や家事は女性の仕事」というイメージが強く、女性が家庭と仕事を両立しにくいのも女性が戻らない理由のひとつです。
「戻ると息苦しい」というイメージ
昔ながらの固定的な価値観や地方独特のコミュニティのプレッシャーが、地方に戻ることへの抵抗感を生んでいるケースも多いです。
もちろん都心部でも同じような偏見を持った人はいますが、田舎ではより顕著だと言われています。
「女はこうあるべき」という固定観念が息苦しさをもたらし、戻りたくないと感じさせているのかもしれません。
娯楽がない
地方は、都会と比べると若者が楽しめる場所が少ないです。
都会には地方にはない娯楽施設が多いうえに、イベントやライブなども都会中心で行われるため、娯楽を求めて地方を出る女性も多く存在します。
働きやすさを求めて都会へ
都市部では、女性がキャリアを追求できる環境や多様な職種が存在し、働きやすさが魅力となっています。
厚生労働省の「女性活躍に関する調査」によると企業規模が大きいほど女性の昇進者比率が高く、働きやすい環境や活躍の場が整っている印象です。
都会に移住する女性の本音
地方から都会に移住する女性の多くは、キャリア形成のしやすさや多様性のある環境に魅力を感じています。
特に結婚や子どもを急かされた経験のある女性にとって、個人の選択が尊重されやすい環境は「自分らしい生き方」を謳歌しやすいです。
キャリア形成がしやすい
都市部では、女性がキャリアを追求しやすい環境が整っています。
都市部では女性管理職や経営者の数が地方より多く、モチベーションアップにも繋がります。
また、交通機関が発達しているため遅くまで仕事をしても安心という点も都会に女性が集中する理由でしょう。
多様性のある環境
都会では多様な価値観が受け入れられ、個人の選択が尊重されやすい傾向があります。
「結婚や出産を選ばない生き方」や「キャリア重視」という選択肢も地方より受け入れられやすいので、理想の生き方を追求しやすいです。
またLGBTQ+などの多様な価値観が尊重され、偏見を感じにくいことも地方より都会を選ぶ女性が多い理由のひとつかもしれません。
都道府県別のデータで見る女性流出率
総務省の「住民基本台帳人口移動報告 2023年(令和5年)結果」によれば、33の道府県で男性より女性の転出超過が顕著に見られます。
栃木県では男性の2.4倍、富山県や鹿児島県では男性の2.1倍の女性が地元を離れており、主に20〜30代の方が中心です。
地方に残る女性の理由とメリット
地方女性が都心部に流出してしまうのが問題となっている一方で、3〜5割の女性は生まれてからずっと地元にとどまると言われています。
また、一度は地元を出て行ったものの再び戻ってくるUターン層もいることから、最終的な地方の女性定着率は6割程度です。
地方に留まったり、戻ってきたりする女性の理由の多くは家族との近さや地元への愛着で、地方ならではの「密な関係性」がプラスに働いていると言えるでしょう。
また、自然に囲まれた生活を送りたいという気持ちから、地方で充実した生活を送る女性も多いです。
地方の女性流出を防ぐにはどうすればいい?
地方の女性流出を防ぐには、ジェンダーギャップの解消や働き方改革、女性が活躍できる場を増やすといった対策が必要です。
具体的な内容については、以下で解説していきます。
ジェンダーギャップ解消が鍵
地方の女性流出を防ぐには、ジェンダーギャップ解消がなにより大切と考えられています。
そのためには女性にとって働きがいのある環境を整え、働き方の柔軟性を向上させる取り組みが必要不可欠です。
地方の働き方改革
リモートワークやフレックスタイム制といった柔軟な働き方が導入されることで、地方に住みながら都市部と同等のキャリアを築ける可能性が高まります。
これにより、キャリアアップや自己実現のために都市部へ移住しなければならないという状況が改善され、女性が地方に留まりやすくなります。
また、柔軟な働き方は子育てや介護といった家庭の役割を担うことが多い女性にとって大きなメリットになるだけでなく、男性が育児や家事に参加しやすくなるのも魅力です。
女性のリーダーシップを育てる取り組み
地方でも働きがいのある仕事がたくさんあると思ってもらうために、女性の管理職登用やリーダーシップ研修の実施が求められます。
近年はあえて結婚しない女性やバリキャリも増えていることから、仕事で活躍できる場を整えなければ女性流出を防ぐのは難しいでしょう。
まとめ
地方女性が生きづらいと感じてしまう課題を解消するには、地域全体の協力が不可欠です。
実際、男性よりも女性のほうが地方を出ていく割合が多く、4割程度は二度と戻ってこないと言われています。
女性流出を防ぐにはジェンダーギャップの解消や働き方改革、地域社会の意識改革を進めることが大切です。